超訳 Reason Why Advertising 第2章 あなたは誰に向かって宣伝しているのか

2022年10月6日


 Mr. 広告屋さんへ!お金をかけて売りたいものを伝えましょう。大切なので繰り返します。”お金をかけて”売りたいものを伝えるのです。


どのような人々が
あなたの商品を
購入する余裕があるでしょうか?


 彼らはあなたの広告の商品に対して、どの所得層の人が適しているでしょうか?平均的な見込み客1,000人につき、いったいいくらの売上が創造できるでしょうか?

これらはすべて、広告キャンペーンを考案する上で、また、そのキャンペーンによって、顧客の獲得に成功する上で、非常に重要な要因です。

 ここに、私たちのキャンペーンと算出の基礎となる国勢調査の数字があります。

1900年の米国には15,964,000世帯ありました。これらの家族構成は平均して約5人であり、総人口は75,994,575人でした。そのうちの51%が田舎に住み、10.2/3%が半都市部、38.1/3%が大都市に住んでいました。

これらの家庭が読む新聞や定期刊行物の年間総発行部数は8,168,148,749部。つまり、1家族あたり年間512部、1日あたり2部近くが読まれていることになります。

すごい読書量ですよね。


 さて、ここからは国勢調査の数字の驚くべき部分です。これらの家庭の33%近くは、平均所得が年間400ドル未満、つまり一人当たり約80ドルでした。

年収400ドルから600ドルの家庭は、全体の21%に過ぎません。
年収600ドルから900ドルの家庭は、全体の15%に過ぎません。
年収が900ドルから1200ドルの家庭は、全体の10.5%に過ぎません。
年収が1800ドルから3000ドルの家庭は、全体の7.5%に過ぎません。

そして、自動車を所有するクラスは、全世帯数のわずか5%で、彼らの平均年間所得は、1世帯につき、3000ドル、もしくは、家族1人あたり、600ドルの所得でした。


これの数字を見て、
どう思われますか?


 仮に広告でピアノを売るとしたら、新聞や雑誌を読む家庭のうち何世帯がピアノを買う余裕があるでしょうか?その内、一体何世帯が、すでにその商品を所有しているでしょうか?

その見積もりは、広告を通じてあなたの潜在的な市場を明らかにして、そのマーケットに対して、あなたが取るべきアプローチ法を明らかにしてくれるはずです。

また、あなたの打つ広告によって、どれほどピアノを欲しがろうとも買うことのできない
ひとがいったい何人いるのか、彼らに対して、あなたが一体いくら無駄な広告費を支払わ
なければならないかも明らかにすることができます。

そして、広告で多くの読者を獲得するために「キャッチーな」コピーを書いても無駄であることも示しています。


必要なのは読者の数ではなく、
読者のクラス(階級)なのです。


 その非常に限られたクラスは、あなたが一度、特定の顧客層の注意を引きさえすれば、あるいは、そのほかの潜在顧客の可能性をすべて排除したなら、その特定の顧客層に対して、あなたは取り組むだけでいいのです。

あなたは、読者層を極端に絞り、その他の顧客の可能性を排除したことにより失ったかもしれない損失を、特定顧客に見合った説得力や営業戦力を駆使し、利益をあげることで埋め合わせをしなければなりません。

しかし、あなたの商品が大衆向けなのであれば、それはその後、広告のためのより良い題材とも言えます。なぜなら、自動車やピアノに対して、そうした大衆向けの商品は、平均的な読者の間で、約85%以上の売上を上げる可能性があるからです。

平均的な家族のこの偉大な85%に広告の現在の間違いは、それらに不慣れなまたは理解できない用語や思考形態で話しているということです。

この85%の世帯の中で、1800ドルの年間所得に届く世帯がひとつもないことに注意しなければなりません。また、この85%の世帯の年間所得は、1世帯につき500ドル未満、家族1人あたりに換算すると、100ドルであることに気を付けなければなりません。

私たちは、こうした平均的な所得層の人たちに、一般教養を受けていることを期待してはいけませんし、過剰な芸術的センスや推測力を求めてはいけないのです。

彼らは、もちろん子供よりも賢いし、決して頭が鈍いわけでもありません。彼らは、平均的な知性を持ち、かなり利口であるし、そうとう疑り深いです。彼らの大半は、「ミズーリ州」出身かもしれません(注:米国ミズーリ州の通称は、証拠が第一州である)。なぜなら、彼らは怪しいと感じる宣伝を目にしたら、決まって「その証拠を見せてくれ!」と考えるためです。


しかし、彼らの精神構造に訴えかけるぐらい、シンプルで、目的にかなったアピールがあれば、彼らが納得する可能性はとても高く、いい写真や心地よいコピーフレーズを好みます。

彼らの一番の興味の対象は、「贅沢を感じるよりも、存在意義や快適さを感じるのに必要なものに、自分たちがお金を使うことを証明して欲しいのです。」

この「85%」の読者層には、ある特定の思考パターンがあり、ある特定のアプローチ形式や動機付けの形式には率直に反応するという精神的特徴が備わっています。

あなたの対象顧客であるこの読者層の琴線に触れ、反応を獲得するには、Reason Why(なぜなのか)を活用することと、スペースを有効に使うことでアピール力を高めることです。

本章では、ほんの2,3のアドバイスを紹介するに留めておき、それ以外のアドバイスは、次章をお読みください。