オンラインコンテンツの膨大な増加とキュレーターの必要性
毎時間、膨大な量の新しい動画、ブログ記事、ツイートなどがオンラインで共有されています。こうした大量のコンテンツが絶え間なく生産され続ける現状を「膨大」という言葉で表現するのは、むしろ控えめかもしれません。しかし、この膨大な情報の中から価値のあるものを見つけ出し、整理するための効果的なツールや技術は、意外にもまだ少ないのが現状です。
その中でも代表的なものがGoogleをはじめとする検索エンジンです。これらは主にアルゴリズムを活用して情報を整理しています。また、ソーシャルブックマークやソーシャルニュースのような集約サイトも、情報整理の手段として一定の役割を果たしています。しかし、これらの方法だけで、この膨大な情報をすべて網羅できるかというと、疑問が残ります。
ある予測によれば、数年以内にインターネット上の情報量は72時間ごとに倍増するという驚異的なペースに達するとのことです。この現象を説明する適切な比喩を思いつくことすら難しいほどの規模です。これほどの情報量が日々生み出される中で、ブランドや企業が注目するのは、単に新しいコンテンツを生み出すことだけではなく、既存の膨大なコンテンツをどのように活用するかという課題です。
出典:情報爆発のこれまでとこれから(https://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/2011/201108.pdf)
「コンテンツ・キュレーター」という役割
このような状況下で、すべての情報を整理し、最も価値のあるものを選び出して共有する役割の重要性が増しています。ところが、このような仕事を担う専門職は、現状ではほとんど存在しません。企業のコミュニケーションチームやeビジネス部門にも、こうした役割を明確に定義したポジションは少ないのが実態です。
この役割を「コンテンツ・キュレーター」と呼びたいと思います。コンテンツ・キュレーターとは、特定のテーマに関連するオンライン上の優れたコンテンツを見つけ出し、それを整理して共有することを継続的に行う人を指します。この「継続的に」という点が、リアルタイムで情報が流れるインターネットの世界では特に重要です。
例えば、Twitterでは多くの人が面白いコンテンツを共有したり、del.icio.usのようなプラットフォームでユーザーが長年にわたってコンテンツにタグを付けてきたりしています。こうした活動は、自然発生的に成長してきたキュレーションの一例です。ですが、コンテンツ・キュレーターは単なる情報共有者ではありません。膨大な情報の中から本当に価値のあるものを見つけ出し、それを適切な形で整理する能力が求められます。
コンテンツ・キュレーターの使命
近い将来、インターネット上の情報量が倍増し続けるという予測が現実となれば、アルゴリズムだけでは必要な情報を見つけるのがますます困難になるでしょう。このような時代には、コンテンツ・キュレーターという新しいタイプの役割が、オンラインの世界で不可欠となります。
コンテンツ・キュレーターの使命は、新しい情報を作り出すことではなく、既存の情報を理解し、最も価値のあるものを発見し、それを整理して共有することです。その活動を通じて、オンライン上の膨大な情報の中から秩序と実用性を生み出します。
例えば、企業や組織にとって、コンテンツ・キュレーターの存在は、単なるマーケティングメッセージに頼らない新しい顧客との対話を生む可能性を秘めています。コンテンツ・キュレーターが収集し共有する質の高い情報を通じて、ブランドは顧客との真のつながりを築くことができるのです。
ソーシャルウェブの未来とコンテンツ・キュレーターの役割
コンテンツ・キュレーターがオンライン上で最高のコンテンツを収集し、それを他者と共有することで、ソーシャルウェブに実用性と秩序がもたらされます。そして、彼らの活動は単に情報整理の枠を超え、企業や組織に新しい価値観をもたらすでしょう。
その結果、コンテンツ・キュレーターの存在は、オンラインの未来を形作る重要な役割となるはずです。これからの時代、価値ある情報の中から本当に必要なものを見つけ出し、それを共有する能力こそが、オンライン上のコミュニケーションやマーケティングにおいて最も求められるスキルになるでしょう。
参考記事)Manifesto For The Content Curator
https://www.socialmediatoday.com/content/manifesto-content-curator-next-big-social-media-job-future
コメントを残す