インドの田舎に7か月間暮らしたことで、その後の人生に大きな影響を与え、生涯に渡って禅を追求したスティーブ・ジョブズ。
その禅の教えのひとつに、こんな言葉があります。
逢仏殺仏 逢祖殺祖(仏に逢うては仏を殺し、祖に逢うては祖を殺せ)
臨済録
言葉通りに捉えるならば、両親に逢ったら両親を殺せ。師に出逢ったら師を殺せとなり、それは殺人鬼になれと言われているように聞こえますが、もちろんそういうことを伝えたいわけではありません。
禅の世界において、見性(真理を見抜くこと)を体験したものは、自分が辿ってきた道のりを振り返ったとき、実は師こそが自分の悟りの妨害者になっていたことに気づくそうです。
アニメにもなったあの”一休”さんですら、見性を体験したのち、自分を惑わした人(師と名乗った人)が憎いと激怒しています。
師弟関係を喧伝したり、資格を付与するなど以ての外だということです。
主従関係 師弟関係が諸悪の根源

臨済禅師は、一人ひとりの中に備わっている「一無位の真人(いちむいのしんにん)」である形のない真実の自己を見出せと説きました。
この形のない自己は、何かどこかに存在しているものではなく、日々の生活(日常)にこそ存在しているため、日常を大切に生きることがとても重要であり、それ以外に真実の自己などあり得ないとも言っています。
つまり、真実の自分に出逢うためには、自分を惑わせるもの、特に権威をもって自分に迫ってくるものは、たとえそれが仏や師、両親であっても、徹底して否定しなければならないということなのです。
知識は本から学べばいい
師から学ばずして、どうやって新しい知識や経験を積めばいいのでしょうか。
それは、読書:本から知識を得ることが推奨されています。著者も師ではないのかと思われるかもしれませんが、読書は著者との対話であると同時に、自分との対話でもあります。
読書を通して、自分と対話し、自分の解釈を通して、ユニーク性を磨くことにつながっていきます。
外から学ぶことがすべて悪いということではありませんが、”独学”に軸に置き、自己の確立をしていくことが、結果的に遠回りをしないで済むということを伝えています。
読書を仕事にする技術
禅の教えに学べば、師弟関係を重視したり、新しい資格を取得することは、自分のユニーク性から遠ざかってしまうことになります。
縦の関係が重視された時代から、横の関係を重視する時代だからこそ、自らが学び、実践し、道を切り開くこと=独学がブームになっているのかもしれません。
そんな時代だからこそ、自分のユニーク性を活用して、読書を仕事にする技術であり、1日1通のメールで仕事をする事業モデルを始めてみてはいかがでしょうか?